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コーヒーの達人への道

2026年3月上旬号 No.559

“ コーヒーの焙煎度合い 健康目的別に ”

先月はまだ2月だというのに、地域によっては4月並みの気温となり、半袖姿で歩く人の姿も見られました。こうした急激な気温の変化は体調を崩す原因にもなります。

それだけでなく、先日まで開催されていたミラノ・コルティナ冬季オリンピックでの日本人選手の活躍を応援するため、時差を越えて明け方まで起きていた方も多かったようです。 どうか、これ以上強い寒気が戻らないことを祈りたいものです。

さて、昨今の物価上昇の報道を見ると、かつてはお米の価格高騰が話題の中心でしたが、現在はコーヒーが前年比51%増と、突出した上昇率を示しているようです。 主要産地ブラジルの豊作報道もあり、相場はやや落ち着きを見せていますが、肥料代、輸送費、燃料費、光熱費、人件費などあらゆるコストが上昇しているため、以前の価格水準に戻ることは難しいと考えられます。

しかし、コーヒーにはうれしい側面もあります。 これまでも健康効果についてお伝えしてきましたが、最近、YouTubeチャンネル「Dr Ishiguroの健康スクール」で情報発信をされている消化器外科医の石黒成治先生が、 焙煎度合いによる健康効果の違いについて解説されています。

コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」は、生豆の状態で最も多く含まれ、焙煎による加熱で減少します。 そのため、浅煎り豆に多く含まれ、がん予防や糖尿病予防への効果が期待されています。 クロロゲン酸は、糖を分解する酵素「αグルコシダーゼ」の働きを抑える作用があり、血糖値の急上昇を防ぐとされています。 さらに抗炎症作用により、膵臓の炎症を抑える効果も期待できるそうです。

浅煎りで注目されるもう一つの成分が「トリゴネリン」です。これは脳神経細胞を活性化し、神経細胞同士の結びつきを強める働きがあるとされ、認知症予防への可能性が注目されています。 また、血管の酸化を抑え、動脈硬化予防にも役立つといわれています。 トリゴネリンを含む食品は極めて少なく、地中海沿岸が原産のフェヌグリークと言うハーブや桜島大根などで、日常的に摂るのは容易ではありません。 その点、浅煎りコーヒーは手軽な選択肢といえるでしょう。

一方、深煎りコーヒーでは「ピロカテコール」が注目されています。これはクロロゲン酸が分解されて生じる物質で、慶應義塾大学薬学部の研究では白内障予防への可能性が示されています。 また、苦味成分の「キナ酸」には尿路感染症予防が期待され、クランベリージュースと同様、尿を酸性に保つことで細菌の増殖を抑える働きがあるとされています。

さらに深煎りでは「ナイアシン」も増加します。ナイアシンは体内のエネルギー産生を助けるビタミンで、ミトコンドリアを活性化し、活力向上や思考力の維持にも関与します。 深煎りコーヒー10gには約4mgのナイアシンが含まれ、1日2〜3杯で推奨量を満たすことができるといわれています。 また、深煎り特有の豊かな香りは副交感神経を刺激し、リラックス効果も期待できます。

中煎りでは「フラン類」が特徴的な成分です。梅肉エキスにも含まれ、貧血改善や血流改善への効果が期待されている成分です。

このように、焙煎度合いによって期待できる健康効果は異なります。コーヒーを選ぶ際に「どの焙煎が今の自分に合っているか」と考えてみるのも、楽しみの一つではないでしょうか。 美味しいコーヒーを味わいながら、その効能にも思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

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