長期、好評連載中メールマガジン「コーヒーの達人への道」のバックナンバーです。
コーヒーの達人への道 バックナンバー 2012年11月
2012年11月下旬号 No.240
“コーヒーの保存再度!”すっかり秋も深まり、紅葉の見ごろもそろそろ終盤にかかっています。 年末の忙しい時にどうも衆議院の解散みたいですね。 12月16日に選挙があるようですから、この週は忙しいし 次の週は天皇誕生日、その振り替え休日でお休み、そしてクリスマスと 年末は大変になりそうですね。 大掃除や新年の準備等は早め早めにした方がよさそうです。
コーヒーも早めに安い時に購入しておくのも賢い方法です。 まとめ買いをするとどうしても時間が経過することで酸化が進んで、 香りも味も落ちます。 常温で保存せずに、冷蔵庫に淹れましょうとか、冷凍庫に入れるとか いわれますが、もし毎日のようにコーヒーを飲む。 購入したコーヒーは1週間以内に飲みきるということなら、 常温がベストです。 ただし、密閉容器に入れて冷暗所に保存します。
間違った保存法なのに良く見かけるのはガラス瓶の密閉容器に 保存することです。視覚的におしゃれに見えるので、ついガラス瓶に しかも、キッチンの日光のあたる場所に置くという間違いです。
挽き売りの店などではお客さまにコーヒーの状態が良く見えるように ガラスのショウケースに入っていることが多いのですが、これは 常に新鮮な焙煎したてのコーヒーを販売しているという事で可能 であり、個人の家庭ではお勧めできません。
コーヒーは大きな袋で購入するより、飲みきれる量をそのつど購入 するのが最も賢明です。 一度開封してしまうとその時点で酸化が始まります。
保存については、すぐに飲まないのなら、開封していない状態で 冷凍庫に保存します。冷蔵庫ではありません。冷蔵庫でも酸化は 進行するのです。
そして、開封したら決して冷蔵庫や冷凍庫に戻してはいけません。 戻すたびに結露がつき、冷蔵庫や冷凍庫の他の食品の臭いを吸って しまうからです。 また、冷凍庫から出したコーヒーは常温にしてから抽出します。 冷たいまま抽出すると粉にしてもコーヒーの温度は5℃程度しか ありませんから、お湯が急速に冷やされ冷たくなった状態で 抽出が行われ、コーヒー本来の味と香りを抽出することが出来ません。
開封したコーヒーは光を通さない密閉容器にいれて、常温で 保管します。そして1週間以内で飲みきります。
その点ではコーヒーメールのコーヒーは全てが100gパック。 しかも窒素充填で新鮮さが長持ちします。 500g1パックの安売りコーヒーより、100gを5パックの コーヒーを購入した方が美味しいコーヒーを長く楽しめること もうお分かりと思います。
2012年11月上旬号 No.239
“コーヒーの美味しい季節になりました!”このところ急に寒さが増してきて、暖房が必要です。
急に来た寒さで今年の紅葉は色がとても綺麗だそうです。
風のない日は空も青く、お出かけにぴったりの気候です。
まだ日中は外を散歩しても気持ちがいいくらいですが、朝晩はかなり 冷えます。夜も長くなってきていて、読書するのにぴったりです。
美味しいコーヒーを片手に、素敵なお菓子と一緒に読書を楽しみ ませんか?
そこでお勧めなのがコーヒーにちなんだ本は如何でしょう。
といっても、コーヒーの産地や銘柄抽出方等ハウツー本ではなく、 コーヒー関連のミステリーです。
「珈琲店 タレーランの事件簿」 岡崎琢磨著 宝島社文庫
作者は1986年生まれで京都大学法学部卒業
第10回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉として発行され た本です。
この大賞の応募作品の中から一次選考、二次選考を通過して、最終 選考に残ったものの、受賞を逃した作品で、このまま埋もれさせる には惜しいとのことから全面的改稿を行った上で恒例の隠し玉として 出版されました。
この本の特徴はミステリーであること。
であるのにコーヒーの うんちくが調所に挿入されていて、コーヒーについての知識のない人 にも、“あーそうなんだ”というコーヒーの知識を得ることが出来る ミステリーとコーヒーに関する知識と2倍楽しめる本です。
また、登場人物の名前もコーヒーの有名銘柄を連想させる名前です。
主人公はアオヤマ(ブルーマウンテン)
バリスタの切間(キリマンジャロ)といった具合で名前でも楽しめます。 京都市内が舞台ですから、京都の地理に詳しくない方は読む前に 観光用のもので充分ですので、地図があるとストーリー展開を もっと楽しめます。
また、京都の行事などについてもさりげなく語られていて、京都の街を 歩いているような気分になります。
本の題名のタレーランの名前は
フランスのシャルル・モーリス・ド・タレーラン・プリゴール からとっています。
彼の名前がピンとこない人でも彼がコーヒーについて語った
「コーヒーとは悪魔のように黒く、地獄のように熱く、
天使のように純粋で、そして恋のように甘い」
という言葉は聞いたことがあると思います。
彼はナポレオンに重用され、ルイ18世にも仕えて重要視されていた 貴族出身の外交官です。彼自身も波乱万丈の生涯を送っているので 興味のある方はこちらの方もどうぞ。
そして、副題の「また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」という 言葉の意味が物語の結末を表しています。
誰と誰がまた会うのか?誰が淹れるコーヒーを誰が飲むのか? に到達するまでのミステリーのお話です。
ミステリーといっても深刻な殺人事件等がある訳でもなく、 あっというどんでん返しがある訳でもありません。
ああやっぱりそうなんだといった感じのミステリーです。
でも、バリスタの切間美星を始め、登場人物のキャラクターは どれも個性的で楽しめます。
秋の夜長に香り高いコーヒーカップを片手に楽しんでみませんか?