長期、好評連載中メールマガジン「コーヒーの達人への道」のバックナンバーです。
コーヒーの達人への道 バックナンバー 2021年10月
2021年10月下旬号 No.453
“ ブラジルのコーヒーの木に霜害 ”10月に入ってからも真夏のような暑さが続き、超大型の台風が発生したり、今まで水害などなかった地域にも豪雨による大水害が発生したりしています。
世界的な天候の異変は地球温暖化の影響があるのかもしれません。
コーヒーの生産国ブラジルでも、天候異変によりコーヒーの木に大変な被害だ出ています。
コーヒーの8月の国際価格は昨年の同じ時期と比べ40%もアップしました。
昨年11月は1ポンド(約450g)が$1.1くらいでしたが、今年8月では$1.6まで上昇しました。
コーヒー豆の相場の高騰の理由は、世界最大のコーヒー生産国ブラジルの降霜により、コーヒーの木が枯れてしまったことです。
コーヒーの木は大変霜に弱く、一度の降霜でも復活できないほどにダメージを受けてしまい、多くの場合は抜いて新しい苗を植えなければなりません。 この新しい苗がコーヒーの実をつけて収穫できるようになるには数年かかります。ある程度の収穫量を得るまでには5年以上かかるそうです。
ブラジルでのコーヒーの木の霜害は全体の20%にもなるそうですから大変なことです。
それに加え、ブラジルはこれから春になりコーヒーは開花の時期を迎えます。 開花にはまとまった降雨が必要になりますが、未だ雨の少ない状態が続いており、90年ぶりの干ばつが起きている地域もあるそうです。
もし雨が降らなければ、コーヒーの木は花を咲かせることができません。
そうなると、霜害から残った木は、今後は干ばつの影響を受け、実をつけないといった事態も心配されます。
コーヒー豆の需要はワクチンの接種状況やロックダウンによる人流抑制で新型コロナの影響がある程度収まってきたことによる欧米などでの社会活動の復活や中国でのコーヒーの需要の急激な伸びによって大幅に増えています。
このため、コーヒー豆の価格は高騰し続けていて、投機筋もコーヒーの先物に多くの買い注文を出して、もうけを得たいとコーヒー豆の相場を増々上げている状況です。 とは言え、現実、農園ではコーヒーの木が枯れ、収入が絶たれた農家は新しい苗を植えたくても資金的に厳しい農家も沢山いるはずです。
そんな農家を応援しようと生産者組合が「コーヒーコイン」という仕組みを始めたそうです。
これは「1コインでコーヒー豆1kgと交換できる仕組み」だそうでコーヒー豆の相場によって1コーヒーコインは変動し、現在は40%も上昇しているそうです。
そのため今後の天候の状況により、さらにコーヒーの生産が少なくなり、コーヒー豆の相場が上がればそれだけ利益が出るとのことで投資家の注目を集め、当初1万枚の発行予定が6万枚に増加したそうです。
もちろんすぐにはコーヒーとは交換できないので、買われたコインは農家の支援に使われるそうですが、何とか以前のような栽培状態に早く戻れるよう祈るばかりです。 他のコーヒー豆の産地でも気候の変動により、収穫量が減ることも考えられ、コーヒー好きの方々にとっては由々しき問題です。
コーヒーを飲みながら環境のことを考え、地球温暖化に繋がるような行動を慎み、持続可能な社会を作ること(SDGs)の心をもって日々過ごしたいですね。
秋はコーヒーはより一層美味しく感じられる季節です。
美味しいコーヒーを飲んで心豊かに過ごしましょう。
美味しいコーヒーはこちらからどうぞ!
2021年10月上旬号 No.452
“ クロワッサンとコーヒーと! ”10月1日はコーヒーの日です。
各地に出されていた緊急事態宣言も解除され、これからほんの少しずつ平常の生活が戻ってくるのでしょうか?
各喫茶店や挽き売りのお店ではこのコーヒーの日に合わせた色々な催しをしています。
全日本コーヒー協会でも「みんなのコーヒータイム」をテーマとしたキャンペーンを実施しており
インスタグラムで投稿するとAmazonギフト券2000円分が抽選で101名に当たります。
10月1日なので101名。「@coffeenewyear」で検索して下さい。
さて、秋になるとホットコーヒーが本当に美味しく感じられますね。
そしてこの時期はサツマイモやカボチャ、栗などの美味しいものも沢山出回るようになります。
そしてこのようなスイーツと一緒に飲むとコーヒーが一段と美味しく感じられます。
今の時期だとミルクを入れたカフェオレもいいですね。
このカフェオレ朝食につきもののクロワッサンについてのお話。
このクロワッサンはフランス発祥ではなく、オーストリアのウィーンのものです。
フランス王ルイ16世に嫁いだマリーアントワネットが大好きだったアイスクリームと共に
ハプスブルグ家から連れてこられた職人によってフランスにもたらされました。
クロワッサンとはヴィエノワズリーという菓子パンに分類されます。
(Viennoiserie)というのはフランス語でウィーン風という意味だそうで
1838年にウィーンのアウグスト・ツァングが開いた高級ペストリーショップ
「ブーランジュリービエンノワーズ」で現在の形に近い軽くサクサクとした生地の
ペストリーになったそうです。
そしてこれがどうして三日月の形をしているかということで、コーヒーと関連があるのです。
1683年ウィーンはトルコの大軍に包囲され陥落寸前でした。
トルコ軍は夜中に城壁の地下から坑道を掘って城内に侵入しようとしていたのを
夜中にパンの仕込みのため早起きしていたパン屋さんに異常を発見され、
ウィーン守備軍にいち早く報告され、オスマントルコ帝国軍の侵入を防ぎ、
包囲を破ることができました。
これを機にオスマントルコ軍は初めて領土を失い衰退の道を歩むことになります。
この時に敗退したトルコ軍は膨大な量のテント、牛、穀物等をそのままにして逃げていて、
この時にウィーンではまだ知られていなかった多量のコーヒー袋も残されていたのでした。
(どこかの国がアフガニスタンから撤退するときにも沢山の品を残したままでしたね。)
この対オスマントルコ軍との戦いでポーランド王率いる5万の援軍を導いて勝利に貢献した
ゲオルグ・フランツ・コルシッキーは褒賞を尋ねられた時に
「金よりも地位よりも、トルコ軍が残していったコーヒー豆が欲しいと」と願い出て
コーヒー豆と「赤い十字の家」と呼ばれた1軒の家を与えられました。
そして、彼はウィーン発のカフェを開業することになるのです。
今日の通称「ウィンナー・コーヒー」(カフェ・アインシュベナー)の創始者となり、
ウィーンにおける人気と尊敬を集めることとなり「コーヒーの英雄」と称えられました。
そして、このオスマントルコ軍からの勝利を記念して作られたのが
トルコの国旗にある三日月を模ったパンを作って食べるというものでした。
これがクロワッサンです。
トルコのシンボルの三日月を食べる=トルコに勝利したということです。
そしてウィーンで市民に受け入れられたコーヒーとクロワッサンは
ハプスブルグ家の王女マリー・アントワネットも大の好物でした。
フランスに嫁いでからも正式な夕食ではなく別の機会にこっそりと
母国のスイーツやコーヒーを楽しんでいたそうです。
この週末はクロワッサンとカフェオレでフランスの朝の気分を楽しんでみませんか。
もちろん美味しいコーヒーはコーヒーメールのコーヒーで。
余談ですが、トルコ軍が残したものはコーヒーだけではなく音楽もでした。
いつも軍楽隊を先頭にして行動したトルコ軍は戦後のウィーンに異国の音楽である
モーツァルトやベートーベンの「トルコ行進曲」を残したのでした。
音楽は久しぶりにトルコ行進曲はいかがですか。
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