HOME >> コーヒーの達人への道

長期、好評連載中メールマガジン「コーヒーの達人への道」のバックナンバーです。

コーヒーの達人への道  バックナンバー 2021年12月

2021年12月下旬号 No.458

“ 中米産のコーヒーを飲んで!! ”

 今年も残すところ、あと半月になりました。外出自粛により、お出かけを控えられる方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?

現在、日本国内の感染者数は低い水準に抑えられています。クリスマスやお正月など年末年始は普段会わない人と会食する機会が多くなります。マスク着用など、改めて感染予防に心がけ、楽しく過ごしましょう。

今回はロイター通信の記事からです。

中米諸国に「コーヒー危機」、コーヒーで生計を立てるのが難しくなったコーヒー農家が農園を捨て、アメリカへ不法移民として渡るケースが急増しているそうです。

アメリカとメキシコの国境に押し寄せる移民の数が、今年になって過去最高を記録。2019年度に比べて2倍、コロナ禍によるロックダウンが実施されていた昨年度と比べると4倍もの人々が密入国で拘束されたとのことです。

ガテマラ南部のある集落では、コーヒー農家1000人のうち1割が密入国あっせん業者に大金を支払い、アメリカへ渡ろうとしているそうです。

その背景には、借金と病気があります。ここ数年コーヒーの国際価格の下落とブラジル産コーヒーのシェア拡大によりコーヒーを栽培しても利益が出ず、農園継続のために借金を繰り返していた。そこへコーヒーの樹を枯らしてしまう「さび病」がまん延し、収穫量が大幅に減ったことにあります。

さび病まん延の原因は、2020年末に発生した2回の大型ハリケーンです。ハリケーンは作物に大きな被害をもたらしただけでなく、数十万人の住居も奪いました。ハリケーン後の多湿状態がさび病のまん延を招きました。

中米諸国の住民の約1割に当たる約500万人がコーヒー産業で生計を立てています。このような状況では生活を続けることが難しいと判断した彼らは、アメリカに移民として出て行こうとしています。

コーヒーが不作になるとホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアから多くの移民が発生するようになる。

中米地域は傾斜が急で土壌がやせている、もしくは森林に覆われていて、コーヒー以外の作物が育てにくいという事情があります。加えて地形的な制約から、コーヒー収穫は人による手摘み頼りです。

さび病でコーヒーが取れないと、農園オーナーだけでなく、コーヒーの摘み取りを生業としていた人々も職を失うということになります。

現在、コーヒーの国際価格はブラジルの大霜害をきっかけに、急上昇しています。 まろやかで香り高いコーヒーを生産している中米地域のコーヒーの生産農家には栽培を放棄することなく、これからも美味しいコーヒーを生産してほしいと願うばかりです。

美味しいコーヒーはこちらからどうぞ!

2021年12月上旬号 No.457

“ 細胞培養コーヒーの登場!! ”

2021年も残り1ヶ月となりました。新型コロナで自宅にこもっているうちに1年が経ってしまったという方も多いかと思います。

ここ最近、日本の感染者は抑えられており、経済活性化を目的にGO TO キャンペーンが再開されようとしています。そんな矢先、南アフリカなどでは、新たな変異株「オミクロン株」が確認され、強力な感染力が懸念されています。まだまだ、気を抜けない状況が続きます。

さて、今回はコーヒーの大量消費国フィンランドで「細胞培養で作られたコーヒー」ができたというニュースです。

フィンランド技術研究センターで、植物バイオ技術を使ったコーヒーが開発されました。温度や光、酸素の量が管理された生化学反応装置(バイオファクター)で、コーヒーの木の細胞から培養されたものだそうです。
培養コーヒーを焙煎した粉からは、通常のコーヒーと全く同じ方法でコーヒーを入れることができるとのこと。
研究センターで植物バイオ技術チームを率いるリッシャー氏は次のように語ります。

「コーヒーの持続的な生産にはいろいろな問題がある。地球温暖化で農園の生産性が低下すれば、農家は栽培面積を増やしたり、栽培場所を変えたりしなければならない。結果として、これまで以上に熱帯雨林の開墾をすることになる。コーヒー生豆の輸送には化石燃料を使う必要もある。そのため、代替品の開発はSDGsの観点からも理にかなっている」と。

研究チームは、従来のコーヒーの木を育てるより培養コーヒーを大量生産した方が、労働力やリソースは少なくて済むと分析しているようです。
例えば、水の使用量(生産から消費・廃棄までに使用される水量)は、農地での栽培に必要な量よりはるかに少ないとみています。

肝心のお味ですが、培養コーヒーの方が苦みは少ないとのこと。カフェイン含有量がわずかに低いためと考えられ、フルーティーさも控えめなようです。ただ、風味は焙煎次第と注文を付けます。

フィンランドで開発された培養コーヒーが規制当局に承認され、商業的に店頭に並ぶには最低でも4年はかかるようです。

ところ変わって、アメリカシアトルではアトモと言うスタートアップ企業が「分子コーヒー」を開発し、1150万ドル(約13億円)の資金を調達したと発表しています。コーヒーノキ以外の有機物を原料として、分子レベルでコーヒーと同じ風味を調合したとしています。

これらの代替コーヒーが、持続可能な社会、環境問題を解決する技術革新という視点で注目されるのは理解できます。とは言え、やはりコーヒーは植物の種を焙煎したものであり、農家をはじめコーヒーに携わる多く人の汗や思いこそが、味わい深い飲み物しているのではと考えずにはいられません。

今はまだ従来のコーヒー豆を焙煎した美味しいコーヒーを飲みたいですね。

便利な100gパックの美味しいコーヒーはこちらからどうぞ!