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コーヒーの達人への道  バックナンバー 2012年3月

2012年 3月下旬号  No.224

   “ミネラルウォーターとコーヒー”

昨年の3月11日の震災から1年が経ち、先日は各地で追悼の行事が行われました。 昨年3月に東京都民の多くが利用している金町浄水場の水から基準を超える放射能物質が検出されて、東京都が乳児用にミネラルウォーターを配布する事態になり、一般の人もスーパーや食糧品店で飲み水を購入する騒ぎになり、大量に海外産の水を輸入する状態になってしまいました。
これ以降普段の飲用等をはじめ、お茶やコーヒーなどもにもミネラルウォーターを使う方が増えています。 緑茶や紅茶だと鉄分などが多いと水色が黒くなったりしてすぐに分かるのですが、コーヒーだともともと色が黒っぽいので分かりづらいということがあります。
日本の水道水は大部分が軟水ですが、地域によっては硬水の所もありますから一度自宅で飲んでいる水を調べてみるのもいいかもしれません。 日本では生活用水の80%が軟水だそうです。

さて、この軟水と硬水ですが水に溶けているカルシウムやマグネシウムを酸化カルシウムに換算してその量が少ないものを軟水、多いものを硬水と呼びます。 硬度1というのは100ccの水に酸化カルシウムが1mg溶けている状態で、硬度100以下が軟水、100〜300が中硬水300以上が硬水です。
私どもの焙煎マイスターの工場長が先日水をテストしましたのでご紹介します。
軟水の水道水(硬度20)と中硬度のエヴィアン(硬度290)超硬水のコントレックス(硬度1500)の3種を比べてみたそうです。 硬度の高い水は口に含んだ時に硬さを感じます。液体の水が硬いなんてと思うかもしれませんが、工場長によればコントレックスは飲みこむのに力がいった位に飲みにくかったそうです。 ミネラルの多い水ほど美味しくて、なんとなく身体にもよさそうな気がするのですが、それは大きな間違いだそうです。
軟水の特徴は、浸透が早く、吸収性に優れていて、カラダに負担をかけず新陳代謝を促進するので、老廃物の排出がスムーズになるとのこと。軟水は体に優しい飲み物なのです。
硬水は硬さを感じて飲みにくいばかりでなく、コーヒーの美味しさの基になるカフェインや良質なタンニンの苦味成分を抽出しにくくしてしまいます。
工場長の試験結果では水道水ではいつものバランスの良いコーヒーの味。エヴィアンは重く抑えられたような味、コントレックスは舌を押しつぶすような重く平坦な味で非常にバランスが悪かったそうです。
水道水は妥当な味に仕上がったのは当然ですが(名古屋の水は木曽川水系でとても美味しいと言われています。)中硬水のエヴィアンでもそのまま飲むとちょっと硬い感じがしますからコーヒーの成分がうまく抽出できなかったのでしょう。 ましてコントレックスはですね・・・。 皆さんもミネラルウォーターでコーヒーを点てる時にはちゃんと硬度をチェックしましょう。

水道水の塩素やカルキ臭が気になる方は浄水器を取りつけているかもしれません。もし浄水器が無い場合は沸かして沸騰させればよいと言われていますが、これらの臭いは水の沸点以下でも蒸発します。これらの臭いを抜くにはグラグラと沸騰させるのではなく、ゆっくりと加熱すれば臭いはなくなります。 この方法は発がん物質と言われるトリハロメタンの除去にも有効です。 沸かす水は汲み置きの物ではなく、水道から直接やかんやポットに入れて沸かしましょう。汲んだばかりの水で沸かしたお湯にはまだ二酸化炭素がいくらか溶けていてこれがコーヒーの美味しさを引きだす役割をします。
最近は直接の飲用だけでなく、料理や洗米にもミネラルウォーターを使う人がいるそうですが、場合によってはその食品本来の美味しさを台無しにしてしまっているかもしれません。

ミネラルウォーターならなんでも美味しい水と思わずにちょっとだけ立ち止まって考えてみましょう。

2012年3月上旬号  No.223

“コーヒー プラス 紅茶”

    立春を過ぎ手からもう1カ月近くなるというのに、29日は関東地方は雪が降ってずいぶんと寒かったようです。
でも天気予報によれば3月に入ると暖かな日が多くなり、春はもうそこまでやってきているとのこと。 そういえば南の方ではつくしも顔を出し始めたとか。
昨年の3月11日の大震災からもう1年近くが経ちますが、被災された方々へも暖かい春が早く訪れることを願っています。

さて、最近ちょっと話題になっているコーヒーと紅茶のコラボですがエチオピアのコーヒーショップでは“シャイブンナスプリース”という名前でメニューにあるそうです。 飲まれた方の説明によればシャイは紅茶、ブンナはコーヒースプリースは混ぜるという意味だそうで、コーヒーと紅茶を1:1の割合で混ぜたものだそうです。

以外に美味しい飲み物だったとの感想でしたが、これを家庭で作ろうと思うとコーヒーと紅茶の飲み物を2種類作らなければなりません。
ポットはコーヒーに1個、紅茶に1個、ミックスに1個で3個必要ですし、場所もとるし後片づけも大変です。沢山作る時はともかくとして、1〜2杯分の時にはめんどうですね。それに各々を抽出した液体を混ぜるので少し薄いような気がします。
これを手軽に美味しく作る方法があります。カフェ・プレスです。

この器具は日本では紅茶用の抽出器として販売されていたこともあり紅茶の抽出はお手の物です。

  • まず、お湯でポットを温めます。
  • ポットに1人分のコーヒーの粉を入れます。
  • それから1人分の紅茶(ティーバッグでも大丈夫です。)を入れてお湯を2人分のメモリまで静かに注ぎます。
  • 蓋をポットの上に載せてむらします。
  • コーヒーと紅茶が抽出されたらゆっくりと中蓋を押し下げます。
  • コーヒーと紅茶1:1の飲み物が出来上がります。

ミルクはお好みですが、両方の香りと味の微妙なバランスを楽しむには入れない方をお勧めします。
コーヒーとも紅茶ともいえない一度に両方を楽しめるよくばりな飲み物ってところでしょうか。
コーヒーと紅茶の組み合わせを変えることで、さまざまなバリエーションが生まれそうです。
カフェ・プレスのあるかたは是非試してみてください。