長期、好評連載中メールマガジン「コーヒーの達人への道」のバックナンバーです。
コーヒーの達人への道 バックナンバー 2011年 9月
2011年 9月下旬号 No.212
“ウォシュド製法は?”
大変な豪雨による災害をもたらした台風が通過した後に、真夏に逆戻りしたような日差しの強い暑い日が続いています。でも、朝晩はやはり涼しく今年は澄んだ十五夜様を各地で見ることが出来たようですね。
もう少しするとホットコーヒーの方が美味しく感じられるようになります。美味しいコーヒーのための加工の工程でのお話を先回に続いてお話しましょう。
先回はナチュラル製法についてでしたが、今回はウォシュド製法です。 ウォシュド製法で加工されるコーヒー豆は機械ではなく、一粒一粒手摘みによって収穫されます。このため人間の目で熟した豆を摘み取ることでコーヒー豆の実の大きさや熟度が揃っています。また、熟している豆なので果肉が軟らかです。
コーヒーの実を水槽に入れ、未熟な豆や硬い豆が混ざっているかも知れないのでこれを除きます。 その後、果肉を取る機械にかけられます。この段階でだいたいの果肉が除かれますが、一部残っているものや、種の表面に粘液などが残っているため全体を水槽に2〜3日浸けておきます。この間に加水分解のための発酵をさせます。
この時に適切なタイミングで発酵を止めなければなりません。発酵が進み過ぎると種に重大な影響を及ぼし、コーヒー豆がだめになっていまします。発酵が未熟だとコーヒー豆の内皮等が残ってしまいます。このタイミングがとても難しいそうです。
適切に発酵が行われた豆はさらにきれいな水で洗浄され、粘液質などを洗い流されて後、天日または機械による乾燥が行われます。しっかり乾燥を終えたコーヒー豆は脱穀機にかけられ、パーチメントを取り除かれます。 こうしてコーヒー豆が生産加工されます。全体を通して大量の水を必要とするため、きれいな水が大量に使えるところでしかこの方法は使えません。
また、農場では水資源の保全のために、使用した水はろ過したりして環境に悪い影響を与えないよう工夫をしています。
このようにナチュラル製法に比べ、ウォシュド製法は水だけでなく大量の人手や手間がかかっています。ウォシュド製法ので作られた豆は濃い緑色をして青みがかっています。豆の質が均一であることや、香りを生み出す成分がより多く含まれており、それだけに高品質なコーヒー豆と言えます。
コーヒーメールではコロンビアや中米をはじめとするウォシュド製法のコーヒー豆を各種取り揃えています。
2011年 9月上旬号 No.211
“ナチュラル製法は?”
まだまだ暑い日が続いていますが、暦の上ではもう秋ですね。 朝晩のひんやりとした涼しさを感じるのはこの頃です。そして今月12日は十五夜です。 ホットコーヒーが美味しくなってきます。
アイスと違ってホットコーヒーは立ち上がる香りが楽しめますね。 コーヒーの良い香りの元になる香りの分子のほとんどは生豆を焙煎する過程で成分が変化して生まれます。生豆そのものは生の状態で香る成分と、焙煎によって変化し、良い香りとなる成分の両方を持っています。その成分の中には悪臭と感じられるような成分でも焙煎することによって良い香りになるものもあります。
それだけではなく、生豆の精製の方法によっても香りに差が出ます。今月は生豆の精製方法で良く耳にするナチュラル製法とウォシュド製法についてお話します。
まずナチュラル製法ですが、豆を収穫する時にストリッピング方式という、枝ごと豆をしごいてコーヒーの豆を収穫する方法で、ブラジルで多く行われている収穫方法です。
一つ一つ熟した豆を手で摘むのに比べて一度に沢山の豆を収穫でき広大なコーヒー農園のコーヒー豆を効率的に収穫できます。ただこの方法ですとコーヒーの実の他に葉や小枝や未熟な豆が混ざってしまいます。
これらをふるいにかけて強風を当てたり、水槽に入れて浮いた葉等を除いたりして、コーヒーチェリーだけにします。その後専用の乾燥場にコーヒー豆を広げ果肉を良く乾かします。コーヒー豆を5cmの厚さで広げた場合1uでは40kgの豆しか広げられないのでかなりの広さの乾燥場が必要となります。 一粒一粒の豆にくまなく太陽の光が当たってむらなく乾燥が出来るよう途中で何回も撹拌する必要があります。 また、雨に濡れないようシートをかけたりして乾燥が良く仕上がるよう気を使います。
この天日干しが済んだら乾燥機にかけて仕上げの乾燥をし、脱穀し果皮、果肉、内果皮(パーチメント)を落とし、コーヒーの種のみが取りだされます。
枝全体を一度に収穫するので豆の大きさにバラツキがあるのでスクリーンと呼ばれる篩にかけて大きさをそろえます。そのスクリーンというのは豆の短径を基準として、12〜20まであります。商業的に出回るのはスクリーン14〜18までで、スクリーン18はSCREEN18/64インチを通過しないことで大きくて粒ぞろいの豆がスクリーン18と呼ばれ人気があります。そしてスクリーン17,16が続きます。
次回はウォシュド製法について。